東京−札幌 特急列車の旅(3)

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10月17日(木曜日)

札幌(野幌森林公園、開拓村)

ホテルで1200円の和朝食をとる。ご飯の他はどれも冷たかった。列車に乗り、札幌駅を発って森林公園駅に向かった。途中四つの駅を通り過ぎて森林公園駅に着いたが、目の前に続く長い階段を見てぼう然と立ちすくんだ。JRの職員は心配している様子はない。駅員が2000万円の全自動椅子昇降機のカバーをはずし、私の車椅子を押してその要所を革紐で固定した時には、実にほっとした。最初は正直言って階段を見下ろしてぞーっとした。この全自動の装置は、先ず階段の高さや角度を測り、介助者の手に余るようなあらゆる位置関係をも計測する。急にぐいっと引いたり、数秒間止まったりすると、祈るようにして車椅子をしっかり握って息を止めた。全てが終了したとき、作動中は誰も機械に手を触れなかったと相棒が教えてくれた。
昇降機1昇降機2昇降機3

駅員が行き先を尋ねたので、北海道歴史村へ行きたいと言ったら、彼はタクシーを予約する必要があると言った。私は誰かがタクシーを降りるのを見たので、係員にそのタクシーを呼んでくれるように頼んだ。我々を乗せたタクシーは森のような公園を通り抜けた。遥かかなたにオベリスク(方尖柱)がその公園の真ん中にそびえ立っているのが見えた。後でわかったことだが、それは重要な意味合いのあるもので、野幌森林公園周辺での北海道開拓の100周年を記念して建立された百年記念塔だった。その広大な場所は2050ヘクタールもあるという。移民館に着いたら階段があったので運転手は迂回して丘を上り、側面の入り口に向かったが、施錠してあった。彼が守衛とインターホンで話し、鍵を開けてもらった。我々は早起きで、開館時間前に着いていたのだ。ちょうど職員が出勤してくるところだった。守衛は我々を待合室に案内してくれた。あたりは非常に静かだった。掲示板には開館時間は9時半と書いてあった。入り口から外をさっと眺めてみた。広い森が広がっていて、紅葉した木々の葉がひんやりした風に揺れている。ここだけは大都会の喧騒の中で落ち着いた静寂の空間だった。9:25までに我々は610円の入場券を買う列に並んだ。私の相棒はコインを全部出して、料金係に渡す用意をした。女性の係員は無料だと言って、英語で書かれたガイドマップをくれた。相棒は自分の入場料を払うと言い張ったが、彼女は無料だと丁寧に教えてくれた。北海道歴史村は野幌森林公園内の54ヘクタールを占めている。1983年に開園した19世紀半ばから20世紀初頭にかけての明治大正時代の復元地域を訪れることが出来たのは驚きだった。この古い時代の建造物は北海道の開拓者たちの生活様式を表わしていた。事務棟の入り口が、古い札幌の鉄道の駅だったとは知らなかった。入り口の開拓使札幌入植本部から始まり、インフォメーションセンター、トレーニング室、講堂、談話室がある。次に二階建ての木造建築の浦河北海道副庁舎がある。小道に沿って続く往時の線路跡は、現在は馬車のコースに使用されている。冬にはそこで馬ぞりができるそうで面白そうだ。次に進むと、小樽新聞社、開拓使産業事務所がある。いちばん興味を引いたのは赤いレンガの交番で、1971までは、そこから町を見下ろすことができた。島浦郵便局は1886年にニシン漁の全盛期に建てられたもので、送金などにも利用されていた。山本理容店、渡邉食品店、浦河教会と進んで行くと、研究旅行で来ている生徒の一団が、我々に近づいてきて、日本語で質問した。英語で返答したら、彼らは一瞬戸惑ったようだったが、互いに笑い始めた。通行人のひとりが彼らに我々のことを外国人だと説明していた。この生徒たちに、もっと勉強して英語を理解するようになって欲しいと言いたい。大きな池の先にある巨大な鐘楼はニシンの大漁を祈って青山家が造ったものだという。「子供広場」は当然子供たちのための遊び場だ。若狭倉庫の所で馬車のコースがは終わっている。北西館という蚕小屋では蚕が桑の葉を食べているところを見た。宮城県の士族の一族である岩間家の家屋、山本消火道具店、本庄鍛冶屋、広瀬写真館、近藤医院、武井酒醸造所、さんまる蕎麦屋、くるまさ旅館に近藤染物店などなど。まだまだあるが回わり切れない。この辺でレストランで休憩。テーブルについてウェイターが注文に来るのを待つ。ウェイターがやってきて、入り口のショウ・ウインドウのメニューを見てくるようにと言った。販売機でシーフードの食券を買いカウンターに渡した。それからガスコンロと一緒に鉄製のプレートと、皿いっぱいのシーフードが運ばれてきた。ホタテ、カニ足、鮭、冷凍牛肉のスライス、もやし、キャベツ、アサリなど。プレートが熱くなると、ウェイターは2塊りのバターをのせてくれた。それから先は自分たちで料理しながら食事を楽しんだ。この4000円のランチは今まで食べた中で最高だ。このレストランは19世紀の赤いレンガ造りで、札幌ビール博物館のそばの札幌ビアガーデンにある。「ジンギスカン鍋」のように、マトンと野菜を鉄板の上で料理するこの地の特産料理は1時間内で食べ放題。見逃してはならないものの一つだ。

野幌森林公園にてランチ

オフィス・ビルに戻り、係員がタクシーの予約をしてくれた。運転手は女性。12:30に駅に向かった。JRの職員は「全自動昇降機」の準備を整えて待機していた。 すべての予定をこなし、1:23発のJRに乗り、札幌駅に向かった。札幌駅では、ウィンドウ・ショッピングを楽しみながら市内を見て回った。果物屋の前を通りかかったので赤いりんご4個を500円で買った。コーヒーショップに立ち寄り、私はフルーツアイスを、相棒は緑茶アイスを食べた。両方で720円。午後7時にホテルに戻る。荷物をまとめて早めに寝た。 
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10月18日(金曜日)

帰路へ

札幌を発つのは本当に名残り惜しい。8:34発函館行きの「ス−パ−北斗」に乗る。朝食には、うにと魚の切り身や漬物などが入った弁当とアイスクリ−ムを買った。快適な乗り心地だ。11:52に函館に着く。そこから青森に向けて12:06発の海峡列車に乗り換えた。この列車は地元の人たちも利用している。幸運なことに、長い木製のベンチに、寝そべることができた。大きな窓からは海岸線が一望できる。長さ53.85km, 高さ7.6m, 巾9.7mのこのトンネルが、本州と北海道を繋いでいる。完成するまで26年の歳月がかかったという。2:34に青森駅に到着。それから5分以内でエレベーターで上ったり、下りたりして次のホームまで移動しなければならない。相棒は足が震え始め、足取りが遅くなった。障害者用の席は、やはり取れなかった。幸い荷物置場があり、そこに車椅子を止めた。私は居眠りをし始めて、車掌に起こされた。席を探しに行っていた相棒がカ−ドを振り振り戻ってきて、私の車椅子が通路を通れるか計って見た。彼の感はすごい。ぴったり。完全に通れる。そのキャビンにはベッドがあるだろうか、窓から景色が眺められるだろうかと心配になる。相棒はベッドを降ろし、車椅子をたたんで窓のそばに置いた。何とすばらしい。いままで乗った電車では経験できなかったことがついに現実のものとなった。 素晴らしい眺め − 塔のように高い木々・橋・野原・丘・トンネル・川と山々。誰に見つめられることなく、このすばらしい景色を堪能できる。海の上を飛び交うカモメ・漁師たち・家々・美しい浜辺。至福の時を過ごした。
スーパー北斗車中スーパー北斗車中

楽しい旅はあっと言う間に終わり4:51に盛岡に着いた。5:02に特急「やまびこ」が盛岡駅を発車。 仕事を終えた通勤者たちは家路を急いでいる。ひとりの婦人が、我々が予約していた席に座っていた。指定席の切符を見せて席を空けてもらったが、ドアのところでぶつぶつ言っていた。それでも不満と見えて車掌に文句を言っている。車掌の説明の後、すこし離れたところでしゃがみこんで、時々こちらを見ながら次の駅で我々が降りるのを期待しているようだった。他に空いている席があるのに、彼女のそういう態度にがっかりしたが、黙って我慢するしかなかった。出来れば私の相棒も障害者なのだということを日本語で伝えたかった。東京へ予定通り7:31に到着。そこから山手線で上野に行く。コンビニで蒸しパンとアイスクリームを買う。福島会館ホテルに戻る。8時23分。
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10月19日(土曜日)

サヨナラ日本

7:30にチェックアウト。近くをぶらぶらして、フリ−マ−ケットをのぞいてみる。まだ2店しか開店していない。上野公園に行く。東京でいちばん大きな公園だ。8:25に山手線で東京駅へ向かう。東京駅は多くの線路の起点である。地下ホ−ムからエレベ−タ−に乗ってトンネルを抜けて地上階に出る。駅構内を下りたり上ったりして、ようやく成田エクスプレスに乗車できた。成田国際空港まで1時間。シンガポール空港に向けて成田国際空港を1:30出発。 アリガトウ、日本。サヨウナラ、日本。
DPIの仲間と共に

終わりに: 通勤客は電車に乗る時、電車を降りる人のために通路を空けて、両側によけて並んで待っている。乗務員はにこりともしないし、笑ったりもしない。おそらくプライドを持ち、仕事に没頭しているためだろう。彼らの最優先は安全第一のようだ。彼らは、仕事に誇りをもち、礼儀正しく、訓練されている。正確な時間運行と、無事故を心がけている。赤いユニホ−ムの女性ガイドは笑顔を絶やさず、上手な英語で対応してくれる。空港では障害者であることを示す身分証や書類を見せるとよい。「なぜ車椅子が必要なのか」などと尋ねられたことがあるが、そうした場合には我々のメンバ−シップカ−ドを提示するとか、あるいは、空港側が車イスをもチェックインしたことの証明書を発行するというような事ができればよいと思う。

Joseph Chia Teck Seng

シンガポール

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